『 パート・アルバイトを上手に雇用する 』

 

 小売業やサービス業などの業種では良い人材を良い定着率で雇用することかが経営上重要な課題といえます。

中小企業が社員を雇用する場合に限られた費用と時間で選考を行なわざるを得ません。その為、応募者の能力や適正を正しく判断することが難しいのが現状です。

そこで最初はパート・アルバイトで雇用し後に能力や適正を判断し正社員として採用する会社もあります。

パート・アルバイト社員に対しては賞与や社会保険の負担が少ないので、パート・アルバイト社員を多く雇用して、人件費を抑え収益を確保する企業が増えています。飲食店やコンビニなどの物品小売店舗では、店長のみが正社員で他の社員はすべてパート・アルバイトという形態が常識となっています。

また、パート・アルバイトの能力に応じステージごとに時給を上げていくことによって仕事へのモチベーション向上を促す賃金体系を導入しています。

働く側も夫や親の扶養の範囲で働きたいと言った働き方の選択を求めています。

人材不足に悩み求人に苦労しているの現状を変え、パート・アルバイト社員をより良く雇用することによって会社の活力ある発展につなげていきましょう。

 

 『 パート・アルバイトの税金と社会保険料負担の関係 』

 

 1.   年間収入と税金・社会保険の関係 

 

(1)     年収と本人が負担する税金・社会保険の関係 (パート・アルバイト社員の夫や扶養者が社会保険適用のサラリーマンを前提としています。) 

 

①     年収が100万円以下  

    税金 所得税・住民税 負担 0円 

    社会保険 原則的に  負担 0円 

 

②     年収が103万円以下

 

    税金 所得税の負担 0円 住民税は100万円を超えると 数千円〜の負担有り

     社会保険 原則的に 負担 0円

 

③     年収が103万円超から130万円未満

 

    税金 所得税・住民税の負担有り

    社会保険 原則的に 負担 0円

 

④ 年収が130万円以上

 

      税金 所得税・住民税の負担有り

      社会保険 本人負担有り

 

(2)パート・アルバイト社員本人が負担する税金と社会保険の一覧表 

収入 所得税・住民税 夫(扶養者)の配偶者(特別)控除 健康保険・年金の本人負担
100万円以下 

所得税 無し

住民税 無し

所得税38万円

住民税33万円

無し
100万円超から103万円以下

所得税 無し

住民税 有り

所得税38万円

住民税33万円

無し
103万円超から130万円未満

所得税 有り

住民税 有り

所得税38万円〜16万円

住民税33万円〜16万円

無し
130万円以上141万円未満

所得税 有り

住民税 有り

所得税11万円〜3万円

住民税11万円〜3万円

有り
141万円以上 

所得税 有り

住民税 有り

所得税 無し

住民税 無し

有り

 (3) 税金と社会保険の関係 

 

 パート・アルバイト社員の多くが年間収入100万円以下に抑えて働きたいという理由は、自分の税金・社会保険料の負担が全く無いことと、夫や扶養者の配偶者控除が最大金額まで控除できるからです。

税金や社会保険の本人負担が全くないので得た収入がそのまま収入となるというメリットがあります。こういった理由から100万円以下の働き方を考えるパート・アルバイトが多いのです。

 年間収入金額が103万円を超えると本人の税金の負担が発生し、夫や扶養者の配偶者特別控除が収入に応じて減少していきます。その為、夫や扶養者の所得税・住民税が増加することになります。また年間収入130万円以上となると認められる場合には、夫や扶養者の社会保険扶養者から外れて自分で国民年金・国民健康保険料を負担する義務が生じます。保険料の負担が非常に重くなるので、収入が増えても手取りが減ってしまうという矛盾した状態が生じてしまいます。

 

2.   所得税の徴収方法

 

 パート・アルバイト社員であっても税法上は正社員と何ら変わりません。毎月の給料から天引きする所得税は税額表から計算しますが、パート・アルバイトであっても「給与所得者の扶養控除等申告書」を会社に提出する必要があります。

「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出があれば、平成20年4月現在の税額表で月額88,000以下(扶養0人の場合)であれば所得税の天引きはありません。

88,000円を超える場合には税額表の甲欄により源泉徴収を行ないます。

「給与所得者の扶養控除等申告書」の提出が無い場合には税額表の乙欄で高額の所得税を徴収しなければならなくなります。

 

平成20年4月現在の給与所得の源泉徴収税額表はこちら 

3.   社会保険について

 

 健康保険・厚生年金の社会保険に加入している会社の場合、正社員は社会保険に加入しなければなりません。パート・アルバイト社員であっても次のいずれにも該当する場合には強制加入が原則となります。

 

(1)雇用契約期間が2月以上

 

(2)1日又は1週間の所定労働時間が一般社員の概ね4分の3以上

 

(3)1ヶ月の勤務日数が一般社員の所定労働日数の概ね4分の3以上

 

ただし、年収で130万円未満であり夫や扶養者が社会保険の加入者であれば、社会保険上では夫や扶養する者の扶養となれますので130万円を基準に給料を考えるのも一つの選択肢と言えます。

 

4.   雇用保険の加入について

 

正社員であれば雇用保険に加入させることが義務となっていますので、正社員は失業した際には雇用保険(俗称では失業保険といわれます。)の給付が受けられます。

パート・アルバイト社員であっても、1週間の所定労働時間が30時間以上であれば、一般保険者として雇用保険に加入させることが出来ます。

また、1週間の所定労働時間が30時間未満でも、1週間の所定労働時間が20時間以上で、連続して1年以上雇用される見込みが有る人は、短時間労働被保険者として雇用保険に加入させることが出来ます。

 会社としてはパート・アルバイト社員を雇用保険に加入させることは社会保険料の負担が増えることになりますが、労働意欲向上や会社への帰属意識を高める観点からパート・アルバイトであっても条件に当てはまる場合には雇用保険に加入している会社も見受けられます。

なお、65歳以上の方は雇用保険には加入することはできません。

 

 

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